毎日新生するログ

願わくば長く書き続けることになりますように。

さよならアル中惑星(長い記事です)

両親はミュージシャンだった。


母親はよく、母親ではなく ドレスを着た

歌手になって出かけて行った


父親は俺が生まれた時にはだいぶひどく

酒に蝕まれていたので

月の半分くらいしか音楽の仕事がなかった


結婚前は2人ともそれぞれが

音楽で食べていたらしい


生まれたところには 楽器 音楽が 初めからあった


ギター、ベース、ピアノ、大量の楽譜


ピアノを弾き 歌を歌う母が怖かった

父親が何者なのかわからなかった


母はドレスを持って夕方出かける


音楽に母を取られるのだ


母は母の姿ではなかった


そして家でも母はミュージシャンであり


母親とは程遠かった


父は母がいない時に


部屋に来た


普段は乱暴な父が


何故か決まって部屋をノックする時は


その時だ


音楽が憎かった


心が壊れて 学校にも行かず


気がつくと家には 楽器があった


いつからか、おれもまた音楽を始めていた


時には陶酔し

時には楽器に怒りをぶつけ

寂しさをぶちまけ

孤独を舐めてもらった


大嫌いで 大好きな音楽


大嫌いな俺の遺伝子


音楽の家 に生まれた遺伝子


アル中の子はアル中


ミュージシャンの子は


楽器を手に取り


今日


生きている感じが鮮やかだ


音の中に 居場所があった


ずっと あったんだ

本当は

音の中にずっといた


だからって


父に 母に

ありがとう とまでは思えない


ただ一つ


ずっとおれは


音楽に生かされていました


これからも


どこかで


少しでも


音と生きる


大嫌いで 大好きで


親が狂っていた音楽


それに生かされています


音楽はただ


ずっとそこにいた


音楽は悪くない


俺は


音楽に誠実に


仕事にしなくてもいい


音と生きる


居場所は


ちゃんと初めからあった

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