俺は俺の

美しいと思うものは はっきりと

知っている

作り出すには至らないが

知っている

美しいものは

｢善きもの｣とは限らないが

それに

飲み込まれて

醜く浸って

惨めに垂れ流して

美しさに埋もれて

気が狂えばいいとも思う

それくらい

美しいものは尊く

魅了する

そんなもので満たされて

狂おしく 狂ってしまえば

楽かとも、思う

美しいもので狂えるなら

この世のものを 手放すことは

なんの未練もない

邪魔をするのは

理性と 道徳

少しの恐怖

自由を探すといいながら

不自由に暮らす

狂う

美しいものに狂わされる

甘い 醜くて 穢れた

願望

狂おしい

すぐそこにあるようで

とてつもなく遠い

目を閉じればあるようで

目を閉じても黒しかない

そこにいるようで、聴こえてくるようで

一度も追いつけない

おれには 無理なんだろう

知ることまでしか

それが あると 知ること

その才能しかない

僕の手からは

生まれない